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Webマガジン連載

第5回町内・集落福祉全国サミットin淡路市

〔第1弾〕集落サミット 小南実行委員長のインタビューを紹介します
  • 第5回町内・集落福祉全国サミットin淡路市 実行委員長 小南 廣之さん(淡路市社会福祉協議会 会長)

全国の中山間地の多くで急激な過疎化・人口減少・少子高齢化が深刻化しています。そのため、日々の買い物や通院などのしにくさ、万一の時のサポート不足など、生活や福祉の課題が大きくなっています。そのような中、全国各地で、住民・地域の自主的な支え合いや地域づくりの活動が生まれています。
こうした集落の住民による取り組みを共有しようと、平成24年9月、秋田県湯沢市で始まったのが「町内・集落福祉全国サミット」(以下「集落サミット」)です。
このたび、第5回集落サミットが11月25日~26日の2日間、淡路市で開催され、全国・県内各地から約1000名の方が集結しました。
今回は、第5回集落サミットの実行委員長を務められた小南廣之さん(淡路市社会福祉協議会会長)や実践発表の登壇者に、それぞれの活動や想いを取材させていただきました。
本号では、第1弾として、小南実行委員長のインタビューをご紹介します。
 
― 淡路で集落サミットを開催されようと思われたきっかけを教えてください。
今回、淡路市で集落サミットを開催するのは、2回目になります。前回は、平成26年2月に開催をしました。秋田での第1回集落サミットに参加した市社協の職員から、「集落福祉」という考え方があるということを聞きました。集落機能が弱まって存続すら危ぶまれる中にあっても、住民や事業者、社協、行政が一緒になって、その集落、地域の産業や福祉を総合的に支え、変えていこうというものです。この考え方や取り組みを淡路島内にもぜひ普及させたいと思ったのが開催のきっかけでした。
― 今回、淡路市で2回目の集落サミット開催ですが、なぜ、再び、淡路市で開催されようと思われましたか。
淡路市社協では、第2回集落サミットの流れを広げていくために、その翌年度から毎年、市民を対象にした「集落福祉フォーラム」を独自で開催してきました。そこで、いろいろな活動を発見して、共有し、住民同士で刺激し合ってきました。特に印象的だったのは、第3回の「集落福祉フォーラム」のとき、登壇者が発表している最中、会場の一角がザワザワしだしたんです。最初は興味をなくして雑談しているのかと心配したんですが、よく聴いてみると「これやったら私たちでもできる」「どうやろうか」と相談し合っていたのです。これだ!と思いましたね。こういう波及効果を期待していたんです。
それから4年が経って、これまで培ってきたことをもとに、小さな地域でも力を合わせればできる姿を全国に発信したい、という役職員の強い思いから、再び淡路市で開催することにしました。
いま国は、「地域共生社会」の実現を掲げています。淡路市でも移動や買い物のしづらさ、地域からの孤立などの生活課題が深刻になっていますが、市社協では、喫茶店やうどん屋、移動販売など、障がいのある人たちが地域に出て、住民の生活支援の一翼を担う活動をつくってきました。これら“淡路流”共生社会の実現に向けた取り組みもぜひ発信したいと思いました。
いまこそ集落・地域のちからで福祉のカタチを考えるときだと思います。「住民ができることはこんなことだ」ということをみんなで共通認識を持てるサミットを目指しました。
 
― これだけの規模の集会を企画・運営するには、活動者の方の力に加えて、社協職員の力も重要になりますね。
 集落サミットを開催したもう一つの目的は、社協職員の育成もあります。実行委員会では、サミットの内容や運営を検討するために、企画運営部会を設置しました。そこに職員たちも参加して、事例を学んだり、内容や運営面を話し合ってきました。このようなことを通して、プログラムを構想する力、活動者に登壇してもらうための交渉力、自分の役割を全うする力や、そして、参加者同士が楽しみながらつながれる企画力など、これらすべての経験が職員自身の力になると信じています。
また、当日の運営スタッフは淡路島内3市の社協職員や市職員に加えて、全国で活動するNPOの職員が担っています。地域や所属を超えて力を合わせた経験が、職員同士の強い絆にもつながっていると思います。
 
― 最後に、淡路市での共同募金運動についておきかせください。
 淡路市では、平成27年度に市のマスコットキャラクター「あわ神(じん)」をデザインしたピンバッジを活用した募金活動を実施しています。今年は3年目になりました。一時は、その効果があって募金額の減少が持ち直しましたが、戸別募金の減少や個人商店が景気に左右されて近年は厳しい状況が続いています。
ただ、住民の居場所づくりや地域福祉活動には財源が必要ですし、みんなで助け合う地域福祉の普及も必要です。これらの基本となるのは、共同募金運動だと思いますので、新しい方法を考えながら、共同募金の啓発に力を入れたいと思います。
 

 
 開会時間が迫る頃、会場の受付には、バスや車で続々と来場される参加者に混じって、徒歩で来られる大勢の地域住民の姿がありました。メイン会場の体育館は満員で、会場の後ろには立ち見の住民と思しき方もおられました。みなさん、真剣なまなざしで登壇者の話しに聞き入っておられました。これだけの住民の方が足を運ぶ姿を目の当たりにして、第2回集落サミット以来、4年間、淡路市社協が地域にまき続けた種が大きく開花する勢いを感じました。
 
(第2弾では、実践発表の登壇者のインタビューをご紹介します)
 
取材・文 松本裕一
 
※「第5回町内・集落福祉全国サミットin淡路市」は、赤い羽根共同募金の助成を受けて開催されました。
 
第5回町内・集落福祉全国サミットin淡路市
(事務局) 淡路市社会福祉協議会
 淡路市志筑3119-1
 ℡0799-62-5214
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