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Webマガジン特集

障害福祉サービス事業所 こころわの 「松尾 志乃さん」の日常を取材しました。
  • 共同募金協力者である松尾志乃さんに密着取材させていただきました。
  • 佇まいは町のお弁当屋さん。そして、「ココロワ」と描かれた軒先のテント。
  • 本日の「あかはね弁当」のメニュー。
  • 営業担当のメンバーさんが電話で注文をとっている様子。
  • メンバーと一緒にお弁当を作る様子。
  • 「あかはね弁当」が完成!
  • 須磨区役所内で販売している様子。
  • 販売の様子を少し離れて見守る松尾さん。
  • 午後は個別支援をしています。好きな芸能人の話題で盛り上がることもしばしば。
特集記事:2017年5月
今回は、神戸市須磨区で初めて「募金百貨店プロジェクト」へ参加いただいた、「障害福祉サービス事業所こころわ(以下、「こころわ」)」の松尾志乃さん(サービス管理責任者)のお仕事の様子を取材させていただきました。
募金百貨店プロジェクト」とは、企業等が売上の一部を募金して、地元の福祉活動を応援することができるプロジェクトです。「こころわ」では、平成27年度から取り組んでいただいています。
 
神戸市須磨区板宿駅から商店街を抜けて、少し歩いたところに「こころわ」の事業所があります。事業所といっても、佇まいは町のお弁当屋さん。軒先の緑色のテントに「ココロワ」の文字。なぜ、カタカナ表記なのかはのちほど・・・
中に入ると、素敵な厨房とカウンター、テーブル席が3つあり、メンバーのにぎやかな笑い声が聞こえてきます。お弁当の調理から弁当販売の営業に関わるほとんどの作業を、ハンディキャップを持っているメンバーが中心に行っているそうです。
 
松尾さんは、学生時代に余暇活動で、あるメンバーの方に連れられて「こころわ」を訪れたのがきっかけで就職し、働き始めて10年目。趣味は、音楽。今は、ホルンという楽器の練習をしているそうです。プライベートでは楽器演奏を楽しみながら、実は、精神保健福祉士の国家資格を取得するために、夜間の学校に通っていた努力家。この春、見事に合格!おめでとうございます。
 
《Interview》
―お仕事の内容について
午前は、仕込みやお弁当作り、販売先での会計担当者のサポートといった個別支援。午後は、メンバーの諸手続きのため役所へ付き添うなどの生活支援をしています。特に、個別支援においては、メンバーが働きやすいように、担当してもらう仕事を見極めることが重要です。また、決して無理をさせないことも大切ですね。自分の力でやりたい!を引き出すための努力をしています。
 
―なぜ募金百貨店プロジェクトに参加しようと思われたんですか?
須磨区共同募金委員会の方から、募金百貨店のプロジェクトのお話を聞いたときに、寄付のしくみがとても新鮮でした。助成金をいただいてエアコンを購入させてもらったことがあり、今までは支援してもらう側でしたが、募金をする側にもなれたことが逆転の発想だなと思いました。メンバーの社会貢献にもつながり、ボーナスにも反映できて、メンバーのやる気を引き出すことにつながっています。
 
おなかいっぱい、しあわせいっぱい!お弁当(カレー)を食べてすまの町をよくしよう!をキャッチフレーズにしました。参加して2年になりますが、注文先でも反応上々で、お客様にとっても特別感があり、季節の風物詩になっています。販路拡大にもつながり、『あかはね弁当』はおすすめ商品です。営業担当のメンバーは、営業先に暑中見舞いを出すときにも、宣伝しています。他の事業所にも噂が広がり、取り組むところも増えてうれしいです。
 
―軒先のテントや看板はカタカナで「ココロワ」ですね・・・。
平成14年の開所時、高等養護学校に通う子どもを持つお母さんたちが、卒業後に行き先がみつからなくても困らないようにと、働く場所としてカレーショップ『ココロワ』をオープンしました。実際は、全員進路が決まったのですが、同じ地域で生活している自宅にこもりがちな障害のある人たちの働く場所や居場所になればと開店に至った経緯があります。店名の『ココロワ』には、お店に集う人の心と心が輪のようにつながってほしいとの思いが込められています。
 
ところが、平成25年に「障害者自立支援法」から「障害者総合支援法」へ変わり、事業体系の見直しが行われたため、現状のまま事業所を続けることが難しくなったそうです。良縁あって今のNPO法人へ移ることができ、「こころわ」として存続できる方向へつなぐことができました。今は、カレーショップから弁当屋に衣替えをしましたが、以前の店内がメンバーの作業場兼集い場になっています。
 
今年で15周年を迎える「こころわ」。
開所当時の「ココロワ」も、今の「こころわ」も変わらずに須磨の町に根ざしています。
その背景には、松尾さんをはじめ、「こころわ」に関わるたくさんの人たちの想いがありました。
 
―最後に、これからのことをお聴かせください。
これからも、メンバー全員がやりがいを持って、いきいきと楽しく働ける支援ができればと思っています。もちろん、募金百貨店も続けていきたいです。
 
今回の取材の中で、区役所での弁当販売に同行した際、松尾さんがメンバーから少しだけ離れて見守っている姿が印象的でした。メンバーが、それぞれにできることを大切にしながら、日々の営みや将来への可能性を広げるためのサポートをしていました。
 
やわらかい笑顔が印象的で、茶色のエプロン姿が似合う素敵な女性でした。それでいて、凛として、一本筋の通った芯の強い部分も垣間見ることができました。
松尾さん、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。
 
取材・文 松下みどり

【法人情報】
特定非営利活動法人おーけすとら・ぴっと
神戸市兵庫区駅前通4-2-137
TEL:078‐531‐6670/FAX:078‐531‐6670

障害福祉サービス事業所 こころわ
神戸市須磨区宝田町3-2-3田中ビル1F南
電話番号・FAX番号:078-736-3188
 
 
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