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Webマガジンreport

県内の赤い羽根の使いみち紹介 ※画像をクリックすると記事が読めます

社会福祉法人明星寮が運営する児童養護施設 「長田こどもホーム」
  • 社会福祉法人明星寮が運営する児童養護施設 「長田こどもホーム」 施設長 王子 光仁 さん
  • アットホームな園内
  • 配分金で無線ルーターを設置
  • 子どもたちの居室でゆったりとゲームを楽しんでいる様子
  • サイバー講習をみんなで受けました
  • DSなどのゲーム機を持っている子どもたちがたくさん
  • ネットの怖さを学びました
  • 人を傷つけないことも学びました
  • みんなに学びをプラスにしてもらえるように訴える施設長
  • サイバー講習後、職員間でネットに関わる諸問題について話し合われました
report:2017年8月

昨年度の共同募金運動により県内で集められた募金を、今年度、県内の社会福祉施設や団体へ配分を行っています。今回は、共同募金配分金でホーム内のインターネット(以下、「ネット」という。)環境の整備を行った、神戸市長田区にある児童養護施設「長田こどもホーム」を取材してきました。
 
当ホームでは、事務所建物に電波の基となるルーターを設置していましたが、接続できる電波の量が少なく、時間帯によっては子どもたちと事務職員との電波の取り合いになることもあったそうです。また、電波の届く範囲が限られているため、子どもたちの居住スペースの、事務所に一番近い窓際に、ネットを使う子どもたちが固まっている光景を見て、何とかしてあげたいとの思いから本配分事業へ要望されました。
 
この日は「兵庫県警察本部サイバー犯罪対策課 サイバー犯罪防犯センター」のサイバー講習(サイバー犯罪被害防止教室)を実施するということで、同席させていただきました。サイバー講習は、兵庫県官民合同対策プロジェクトとして、学校や職場、地域向けに警察官の専門部隊が講師となり実施しています。自治会など地域向けの講習会では、サイバー空間の脅威から子どもたちを守るために、地域での見守りをお願いしているそうです
 
学校の部活動や学習塾のある子どもたちも、この日はお休みをして全員で講習会に参加。正しい使い方を学び、ネットの身近なリスクから身を守るために、そして、犯罪に巻き込まれないために警察官の方の話を真剣に聴いていました。

                                      
施設長の王子 光仁 氏にお話を伺いました。
 
今回、ネット環境が整備されて、みなさんの反応はいかがですか?
 
事務作業はもちろん、子どもたちが携帯やゲーム等で使用しても安定して使えるようになりました。特に、子どもたちは、自分たちの希望が叶ったことをとても喜んでいます。
これまで、子どもたちは、学校からもらってくる「学校募金袋」で募金をしていましたが、当ホームのネット環境の整備に使われたことを知って「これに使われているんだ!」とみんなで実感することができました。
 
半数以上の子どもたちが赤い羽根に募金したことを知り、大変嬉しく思います。子どもたちの居室にお邪魔させてもらったら、ゲームや音楽を楽しんだり、スマートフォンを触ったりしている子どもたちが多かったですね。
 
子どもたちにとって、ネット通信はとても身近なものになっています。学校でもパソコンを使った「調べ物学習」があり、ネットのない生活が考えられない時代になっています。
当ホームでは、小学生からゲーム機や音楽機器の所持を認めています。当初は、子どもたちがネットにつないで外部とつながるとは思いもしませんでした。今では、ネットを使って知らない人と対戦したり、音楽を有料ダウンロードしたり、課金して楽しむ子どもたちもいます。子どもたちの方が職員よりも知識があることも多く、外部と簡単につながれることからトラブルにつながることも過去にはありました。
 
また、中学生以上の子どもたちには、保護者の承諾を得た上でスマートフォンを持つことを認めています。子どもたちにニーズ調査を行い、職員会議を重ねて決定しました。全国に約600施設ある児童養護施設の中でもめずらしく、まだまだ、少数派だと思います。しかしながら、子どもたちの将来のことを考えると、一方的に規制するのではなく、社会に出て生活していくことも見据えて、正しい知識をみんなで共有して一緒に生活することが、子どもたちにとって大切なことだと思っています。
 
本日の「サイバー講習」では、小学生から高校生まで、みんな真剣に聴いていましたね。
 
現在、「夜12時以降には電波をストップする」や「食堂へは持ち込まない」などのルールを決めて使用を認めてますが、目まぐるしく変わるネット環境に職員の知識が追いつけていない現状もあり、今回のネット環境の整備に伴って、今一度、ネットの正しい知識と怖さについて学ぶ機会を設けました。
 
サイバー講習を受けて、「ネットから子どもたちを守ることができるのか!?」正直怖くなりました。それでも、みんなが正しくルールを守ってくれるのを信じています。
知らない人にスマホを渡さない」・「IDやパスワードを教えない」・「同じパスワードを使い回さない」・「不正なアプリをインストールしない」・「ネット注文するときは相談する」・「鍵付にしていても見られる可能性がある」・「写真をSNSにアップするときは背景にも気をつける」・「ネットでの発言には気をつける」・「ネットとリアルはちがう」といった、本日の学びもプラスにしてもらいたいです。今後は、職員向けの講習も依頼して、上手に子どもたちがネットと共存できるよう、支援していきたと思います。
 
 
 
 
児童養護施設のネット環境の整備という、本会でも初の配分事業の取材でした。
ネットがつながりやすくなることは、快適でとても良いことです。一方で、興味・関心が多感な年頃の子どもたちにネット環境を与えることは、大人も知らない危険と隣合わせであることも事実です。ネット犯罪の中には、命の危険につながることもあります。その中で、地域の人たちの見守りが実はとても大切で、そして、子どもたちの安心・安全につながっていることを改めて感じました。
 
取材・文 松下みどり

 
兵庫県神戸市長田区前原町1丁目21-18
TEL:078-691-7210/FAX:078-691-6033
 
 
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