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Webマガジンreport

県内の赤い羽根の使いみち紹介 ※画像をクリックすると記事が読めます

地域交流スペース いきいきカフェ 滝の茶屋
  • 地域交流スペース 「いきいきカフェ 滝の茶屋」 運営責任者 濱口 幸子さん
  • カフェ滝の茶屋 扉がなく透明のビニールカーテンで仕切っています。
  • 1杯150円で飲み物を注文しました。暑さでカップに水滴が・・・
  • お客さんをお出迎えする濱口さん。 カウンターではお客さんが飲み物を注文中。
  • 好評のカレンダーづくりの真っ最中。
  • 手作りのカレンダー。カフェ滝の茶屋がオープンする水曜日には色をつけています。
  • 1周年記念のプレゼント。みんなさん黄色い歓声が上がりました。
  • みなさんの要望で急遽はじまった指の体操。盛り上がりました。
  • お振込みいただいた寄付者の方へお礼状と手作りのものをお送りしました。
  • スタッフのみなさんより、「毎週水曜日、スタッフ一同お待ちしています。」
report:2017年9月

昨年度より、赤い羽根共同募金の運動期間が10月1日から3月31日までの半年間になりました。県内での新たな取り組みとして、運動期間を拡大した1月から3月の間、寄付金を必要とする地域のボランティア団体と共同募金委員会が特定のテーマを決めて寄付を募る「テーマ型募金」の実施を神戸市東灘区と神戸市垂水区で実施しました。
 
今回は、テーマ型募金に取り組まれた、神戸市垂水区にある地域交流スペース「いきいきカフェ 滝の茶屋(以下、「カフェ滝の茶屋」という。)」を取材してきました。取材日は、ちょうど50回目の開催日で、カフェ滝の茶屋がオープンしてから1周年記念日でもあるということで、朝から多くの方が訪れていました。まずは、カウンターでアイスコーヒーを注文。1杯150円で飲み物を注文することができ、ちょっとしたお菓子も付いてきました。

                                      
運営責任者の濱口 幸子 氏にお話を伺いました。
 
―カフェ滝の茶屋では、地域交流スペースとしてどのような活動をされていますか?
 
山陽電車の「滝の茶屋駅」から北へ3分ほど歩いたところにある、植田邸のガレージをお借りして、毎週水曜日にオープンしています。お客さんが来たいときに来られるように10時から16時ごろまで常時スタッフがいるようにしています。手芸や折り紙、カードゲーム、座ったままの体操などをしています。特に、毎月のカレンダー作りは好評で、楽しみにされている方がたくさんおられます。今日は、1周年イベントとして、日頃の感謝の気持ちを込めて、ささやかなプレゼントを用意しました。くじを引いてもらい、ワクワク感を演出しました。
 
みなさん喜ばれていましたね。みなさん、週1回ここへ来るのをとても楽しみにされていますね。
 

以前は、別の場所で地域交流カフェの立ち上げから関わっていましたが、「地元で何かしたい」・「近所の方が家から出るきっかけになれば」と思い、カフェ滝の茶屋をオープンしました。現在は、8名のボランティアスタッフで運営しています。その内、5名のスタッフが、神戸市が主催し、認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸(CS神戸)が企画運営している「生活支援・介護予防サポーター」の養成研修を修了しています。単身高齢者世帯や高齢者夫婦のみの世帯の増加を背景とした、住民同士の支え合い活動を実施する人たちを養成する研修です。これにより、介護予防のお手伝いをすることができます。

 

また、私自身、高齢者施設へのボランティア活動やクラフト教室、体操、障害者支援の活動などもしています。その中で学んだことを、カフェ滝の茶屋の運営にも活かしています。

 
昨年度、「テーマ型募金」に取り組まれましたが、どのような理由で参加されましたか?
 
カフェ滝の茶屋は、ガレージをお借りしているため、扉がなく透明のビニールカーテンで仕切っています。8畳ほどのスペースに最大で15名のお客さんが来られます。昨年7月のオープン当初は、扇風機1台のみで、うだるような暑さでした。冬は石油ストーブで暖をとっても、吹きさらしの風で凍えるような寒さでした。
このような環境の中でも、水曜日を楽しみに毎月110人の方が来られます。
夏は涼しく、冬は暖かく。快適な環境でおもてなしをしたいと思っていましたが、1杯150円のお茶代だけではエアコンを設置することもできず悩んでいたところ、垂水区共同募金委員会の担当者の方から「テーマ型募金」のお話を聴き、参加することにしました。
 
具体的には、垂水区共同募金委員会が作成したチラシを配布して募金のお願いをしたり、募金箱をお店の中に設置して募金の必要性について説明したり、インターネットで呼びかけるクラウドファンディングを活用した募金活動にも参加しました。その結果、7万円の目標額に対して、181,063円の寄付が集まりました。
 
目標を大きく上回る寄付が集まったんですね。募金活動に参加してみていかがでしたか?また、集まった寄付金で環境は改善されましたか?
 
募金活動を振り返ってみると、正直、募金を呼びかけることに抵抗がありました。チラシを配るのが精一杯でした。ある時、毎年共同募金に協力している近所の方にお願いしたところ、困っていることを伝えたら快くご寄付くださり、他の方にも募金のことを伝えていただき、そこから広がって寄付が増えました。また、チラシ配りを手伝ってくれる人や、来るたびに募金箱に寄付してくださるお客さんもいました。さらに、専用のインターネットサイトを通じて資金を募るクラウドファンディングについては、初めは仕組みが理解できずお断りをしましたが、垂水区共同募金委員会の担当者の方の丁寧な説明のおかげで、ネットを使う若い世代へ向けても呼びかけることができました。
 
実は、直ぐにエアコンを取り付けることができず、とりあえず暑さをしのぐため、冷風機と送風機を1台ずつ購入させていただきました。今日もかなり暑いですが、開所当時からある扇風機とお客さんに頂いた送風機もフル稼働しています。光熱費や維持費のことを考えると、大きな備品の購入は簡単にできません。今後、環境改善に向けて検討していきます。みなさまからの寄付金は大切に使わせていただきます。
 
みなさん、ハンカチで汗を拭きながら、カレンダー作りに夢中になっていました。今日で1周年記念日ということですが、思い出のエピソードはありますか?
 
カフェ滝の茶屋は、みんなで持ち寄った手づくりのカフェです。テーブルや椅子も施設から譲っていただき、コーヒーカップも頂き物です。テーブルはペンキで色を塗り、椅子に手作りのカバーを付けました。コースターや店内に飾っているタペストリーなども手作りされた地域の方から頂き、みんなの思いがカタチになっています。また、開所時は、神戸市保健福祉局介護保険課よりコーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を無償貸与いただき、CS神戸より補助金を頂くなど、いろんな方々の支援がありました。本当にありがたいことです。
 
カフェ滝の茶屋へ来られる、最高齢91歳の女性の方がいます。私は、障がいのある方への支援活動を40年以上続けていますが、そのときに出会った子どものお母様なんです。すごい縁だなと、感慨深いものがあります。他にも、なかなか子どもを連れてゆっくりとお茶をする場所がないと20代のお母さんも来られます。若い方にも来ていただけるようになって、子ども用のおもちゃやぬいぐるみが増えてにぎやかになりました。
 
それから、ある高齢のご夫婦のお話です。二人暮らしをされていて、使わなくなった「ぬいぐるみ」を寄贈したいと旦那様が訪ねて来られました。話しによると、奥様がご病気で入院されているとのこと。入院中、旦那様はこのカフェでカレンダー作りをされて奥様へ届けておられました。一度だけ奥様も来られました。それからしばらくして、奥様が亡くなられたことを知り、旦那様の体調のことが気になっていました。そしたら、旦那様が来られて「ここがあって、良かった。」と言っていただきました。今思い出しても胸が熱くなります。
 
カフェ滝の茶屋に関わる、たくさんの方たちによって支えられているんですね。最後に、今後の活動についてお聞かせください。
 
募金活動を通じて、お客さんにも運営のために備品や資金が必要であることを理解していただきました。また、1杯150円のお茶を注文いただくことが、運営の助けになっていることを意識していただけるようになりました。これからも、ポスターの掲示や募金箱の設置など、できる範囲で赤い羽根にも協力していきたいと思っています。
あっという間の1年でしたが、毎週水曜日にカフェ滝の茶屋へ来るのを楽しみにしている人たちが増えました。また、新規のお客さんも増えています。今日も、80代男性の方が、このカフェが気になり、利用されている施設の職員の方に連れられてやって来ました。実は、近所に住んでいる方で何度かすれ違ったことがありました。地域の方が、興味を持って訪ねてくださることで、地域に開かれたカフェになります。「困ったときはおたがいさま」のつながりづくりができればと思っています。
 
 
濱口さん、スタッフのみなさん、取材にご協力いただきありがとうございました。スタッフの方が「濱口さんは回遊魚と一緒なの。マグロなの。とまったら死んじゃうのよ(笑)」とおっしゃっていました。暑い中、お出迎えをして、お話をして、みなさんからの要望で体操が始まって・・・と、休む暇なく動かれていました。段々と難しくなる指を動かす体操で、「分からなくなったー。」との声。それに対して「分からなくなるのが良いんですよ!できないのは頭が回ってる証拠!」とやさしくアドバイスをする濱口さんの姿が印象的でした。
暮らしの中に、家以外で「ほっ」とできる居場所があるということは、年齢や性別、世代を問わずありがたいことです。近所付き合いが希薄になった今、時代に合った強制感のないつながりづくりが広がっています。カフェ滝の茶屋は、地域のなかにある「ほっとスポット」として2年、3年と長く続いてほしいと思います。
 
取材・文 松下みどり

 
神戸市垂水区塩屋町6丁目11-16
TEL:090-1074-7980
フェイスブック「いきいきカフェ 滝の茶屋」
 
 
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