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Webマガジンreport

県内の赤い羽根の使いみち紹介 ※画像をクリックすると記事が読めます

障がいのある方を始め誰もが自由に楽しく生活出来る事を願って活動する「NPO法人ウィズアス」
  • 神戸市中央区にある「NPO法人ウィズアス」 代表理事の鞍本長利さん
  • 「NPO法人こうべユースネット アウトドアカレッジ」の大学生スタッフのみなさん
  • 参加した子どもたちに自己紹介をする大学生スタッフのみなさん
  • 子どもたちと「じゃんけん遊び」をしながらコミュニケーション
  • ただいまフェイスペイント中・・・
  • ハロウィンの衣装でお面づくり
  • ハロウィンの衣装でマントづくり
  • ハロウィンの衣装が完成!ハッピーハロウィン★
  • 交流会終了後のミーティングの様子
  • NPO法人ウィズアスさんで発行している情報誌
report:2018年1月

兵庫県内では、平成25年度より、企業等が売上の一部を募金して「地域のためになる商品」をアピールしながら地元の福祉活動を応援することができる“寄付つき商品”を募集する「募金百貨店プロジェクト」の参加企業を募集しています。
 
今回は、昨年度の「募金百貨店プロジェクト」に参加してご寄付いただいた「株式会社 どうぶつ王国」様のご協力により、寄付金を活用した事業の取り組みをご紹介します。
 
平成29年10月27日。神戸どうぶつ王国内で開催された「ふれあい交流 どうぶつ王国ナイトツアー」の事業を取材してきました。当事業は、「株式会社 どうぶつ王国」・「NPO法人 ウィズアス」・「NPO法人こうべユースネット」の共催で実施され、社会福祉法人 神戸市中央区社会福祉協議会が協力団体として参加しています。
 
閉園後の「神戸どうぶつ王国」に、神戸市中央区内の特別支援学校に通う生徒さんや、放課後等デイサービス(障がいのある就学児向けの学童保育のようなサービス)や児童発達支援事業所(障がいのある未就学の子どものための通所支援)に通う子どもたちやその親など約35名が参加しました。園内で子どもたちを待っているのが、青少年の育成活動に取り組む「NPO法人こうべユースネット アウトドアカレッジ」の大学生スタッフのみなさんです。普段は、小学生を対象とした野外体験活動のボランティアをしていますが、今回、「NPO法人ウィズアス」からのお声がけにより、初の試みとして、障がいのある子どもたちと交流するプログラム企画に取り組みました。
 
大学生スタッフに同行した「NPO法人こうべユースネット」のキャンプインストラクターである川上 悠介氏によると、参加している大学生スタッフの8割が教職を目指しているそうです。とはいえ、これまで障がいのある子どもたちと接する機会が殆どなく、まずは、子どもたちとどのように接したら良いのかを学ぶことからのスタートだったそうです。事前に学習の時間を設け、障がいのある方の地域での暮らしを支援する「NPO法人ウィズアス」の代表理事の鞍本氏より、コミュニケーションの方法やサポートの方法について学び、企画を進めることになりました。
 
当日は、子どもたちと大学生スタッフが協力して、ハロウィンの衣装を一緒に完成させることに挑戦。初対面で、まずは、大学生スタッフがそれぞれ自己紹介。その後、みんなで「じゃんけん遊び」をしながらコミュニケーションをとって仲良くなっていきましました。ハロウィンの衣装をつくるための説明をしている最中、みんなの輪の中から外れてしまった子どもたちにも、大学生スタッフが率先してコミュニケーションをとり、楽しんでもらえるように寄り添っている姿がありました。初めての出会いの中で、心のバリアを何とか破ろうと、自分たちをさらけ出し、笑顔で接している学生スタッフのみなさん。最初は、不安もあったそうですが、みんなで楽しみながら、お面やマントの製作やフェイスペイントを行い、それぞれ思い思いの動物に変身しました。
 
最後に、見守っていた保護者の方にも参加した感想を聴くことができました。「自然いっぱいの神戸どうぶつ王国でのびのびと楽しめていたと思います。」・「環境が変わると不安になるときもあるが、お姉さんたちと仲良くしている姿を見て安心した。また、このような機会があればもっとお姉さんたちといろんなことができたらいいですね。」
 
園内には、ハロウィンの衣装を身に着けた子どもたちの楽しそうな笑い声が響いていました。
また、今回の事業を支援してくださった「神戸どうぶつ王国」様の支配人兼営業部長の永田 雅寛氏より、メッセージを寄せていただきました。
 
- Message -

今回のプロジェクトは神戸どうぶつ王国でも初めての取り組みでした。

毎年行っているドリームナイト・アット・ザ・ズーでは、私たちスタッフ&動物たちと障がいのある子どもたちとの交流事業は行っておりますが、今回は将来を担う大学生と障がいを持った子どもたちとの交流をサポートする立場でした。

最初は互いに距離感があったスタートでしたが、大学生のリードもあり徐々に打ち解け、最後はみんなが笑顔に。

大学生の積極性や行動力に感心しましたし、子どもたちの笑顔が何よりうれしかったです。

短い時間でしたがとても意義のある交流事業だったと思います。

またぜひこのような異年齢の交流の機会をお手伝いできればと思います。

次回はぜひ動物たちも一緒に参加して楽しい時間を共有したいですね!

                                      
配分先であるNPO法人ウィズアスの代表理事 鞍本 長利 氏にお話を伺いました。
 
―みなさん悪戦苦闘しながらも、笑顔がたくさん見られ、とても充実した時間を過ごされていましたね。
 
事前学習の時に、「子どもたちを楽しませるためには、自分も楽しむことが大事!」というメッセージを強調して伝えました。知的に障がいのある子どもたちは、慣れない環境に戸惑ったり、集団行動が苦手だったり、注意力が散漫で作業に集中できないこともあります。また、人の言うことを集中して聴くことが難しいこともあります。その中で、今回初めて、障がいのある子どもたちとふれあい、ハロウィンの衣装を一緒に完成させるという企画は大変だったと思います。それでも、子どもたちと向き合い、楽しみながら交流していたようです。将来、教職を目指している学生さんもいます。普段、障がいのある人たちとの接点があまりないということだったので、在学中に学び、経験することはとても貴重な体験となったと思います。
 
大学生のみなさんからも「障がいのある・ないに関係なく、子どもたちとの交流はとても楽しかったです。子どもたちには無限の可能性があると改めて実感しました。初めての経験でしたが、今後もたくさんの子どもたちと異年齢交流をしていきたです。」と語ってくれましたよ。
 
うれしいですね。現在、小中学生と大学生など異年齢の子どもたちの交流や同じ年代の子どもたちとの交流の場が少ないのが事実です。障がいのある子どもたちに限定せず、広く参加いただけるようにしていきたいと思います。また、今回は、知的障がいのある子どもたちと大学生との交流でしたが、車いすを使って生活している子どもたちにも参加を呼びかけたいと思っています。当事業の会場となった、神戸どうぶつ王国は「花と動物と人とのふれあい共生」をテーマにしたバリアフリーの施設です。施設内はで車椅子の移動も楽にでき、障害者対応トイレも完備されています。雨に濡れる心配もないので、当法人の事業でもよく利用させてもらっています。
 
当事業は、「支援する側(寄付者)」と「支援される側(受配者)」とが協働して実施した「募金百貨店プロジェクト」としても新しい取り組みとなりました。今回の取り組みを振り返っての感想などをお聞かせください。
 
このような取り組みが、持続的に続いていくことがとても大事だと思っています。例えば、車椅子を利用している方や視覚障害のある方と、美術館や水族館を一緒に楽しむにはどうしたらよいか。さまざまなハンディキャップを抱えた人たちと、子どもたちや学生が「接点」を持つことで、誰もが自由に楽しく生活出来るユニバーサルな社会づくりにつながります。当法人では、車椅子でも利用しやすいお店や施設を実際に車椅子の方たちと取材をして紹介している情報誌「びと」や神戸観光のサポートなどを行っています。当事業にご支援くださった株式会社どうぶつ王国様の情報も掲載させていただき、障害のある方や高齢の方も楽しんでいただけるサービスの提供にご協力いただいています。他の募金百貨店プロジェクトにおいても、企業樣と連携しながら地域を巻き込んだ活動がさらに広がっていってほしいと思います。
 
 
今回、企画運営に携わった大学生スタッフのみなさんの中に、障がいのある子どもたちとこれまで一度も接する機会のないという学生さんがいました。通っていた学校には、何らかの障がいやハンディキャップのある人がいなかったそうです。そのことにとても驚きました。「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が平成28年4月1日から施行されました。この法律は、障がいのある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生きる社会をつくることを目指しています。しかし、今の子どもたちは、少子化や一人っ子家庭が増えてきた影響もあり、子どもたちが年齢の枠を越えて共に学び合い、成長していく機会も徐々に少なくなっています。学生から実際にあがった声として、年齢の異なる子ども同士の「異年齢交流」の必要性を訴えていました。そうした中で、子どもたちが共に認め合うための学びの機会や学びの場を増やしていくことが今後益々必要になると感じましたまた、県内の募金百貨店プロジェクトの取り組みも5年目を迎えました。ご寄付いただいた企業樣と協働で福祉活動を実践することで、商品を販売する職員の方にも使いみちを身近に感じていただけます。募金百貨店プロジェクトの取り組みが企業の「誇り」となるよう、今後もこの取り組みを推進していきたいと思います。
 
取材・文 松下みどり

 
兵庫県神戸市中央区波止場町5番4号 中突堤中央ビル2F
TEL・FAX:078-381-6470 
 
 
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